賃貸の壁に塗り壁は塗れる?原状回復のルールと確認すること

賃貸の壁に塗り壁を塗っていいのかを、国土交通省の原状回復ガイドラインをもとに整理しました。借主の負担範囲、管理会社への確認のしかた、DIY型賃貸借という選択肢、壁に塗らずに楽しむ方法まで解説します。

賃貸の壁に塗り壁は塗れる?原状回復のルールと確認すること|デコれるウォールのコラム

賃貸の部屋の壁を塗り替えたい。そう思ったときに最初に確認すべきなのは、色でも材料でもなく契約です。賃貸では退去時に部屋を元の状態へ戻す義務があり、塗り壁はその判断が分かれやすい工事だからです。ルールと現実的な選択肢を整理しました。

この記事でわかること

  • 原状回復で借主が負担する範囲の考え方
  • 塗り壁が「通常の使用による損耗」にあたらない理由
  • 管理会社に確認するときの聞き方
  • 壁に直接塗らずに塗り壁を取り入れる方法

原状回復のルールをおさらいする

国土交通省は、敷金の精算をめぐるトラブルを防ぐために「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」を公表しています。ここでは、部位ごとの損耗を区分し、経過年数の考え方を取り入れたうえで、借主と貸主のどちらが負担するかの目安が示されています。

大まかにいえば、次の整理です。

状態 負担の考え方
通常の使用による損耗・経年変化 日焼けによる壁紙の変色、家具の設置跡 原則として貸主の負担
借主の不注意や手入れ不足による損耗 結露を放置してできたカビ、落書き 借主の負担
借主が自分の意思で加えた変更 壁の塗装、造作の取り付け 契約に沿って元に戻す

※実際の負担は契約書の特約によっても変わります。上の表はガイドラインの考え方を要約したもので、個別の判断は契約内容によります。

塗り壁は「元に戻す」対象になりやすい

壁を塗るのは、住んでいるうちに自然に起きる劣化ではなく、借主が自分の意思で加えた変更です。そのため、退去時には元の壁紙の状態に戻すことが求められるのが基本になります。

しかも塗り壁は、塗料より厚みのある層が壁の表面に固まります。上から塗った壁紙ごと張り替えることになるため、原状回復の工事はそれなりの規模になります。黙って塗って、退去時に請求されてから知るのがいちばん高くつく進み方です。

賃貸で塗る前に確認する3つのこと

1. 契約書の「禁止事項」と「特約」を読む

「模様替え」「造作」「内装の変更」といった言葉で、許可なく行ってはいけない行為が書かれていることがほとんどです。まずここを確認します。

2. 管理会社やオーナーに聞く

聞き方は具体的なほうが話が早く進みます。「壁を塗ってもいいですか」ではなく、次のように伝えてみてください。

  • どの部屋の、どの面を塗りたいのか(例:洋室の北側1面、約6㎡)
  • どんな材料か(例:自然素材の塗り壁材、ビニールクロスの上から塗るタイプ)
  • 退去時にどうするつもりか(例:自分の費用で壁紙を張り替えて返す)

「退去時の扱いまで自分で考えている」と伝わると、検討してもらえる可能性が上がります。許可が出た場合は、口約束ではなくメールなど文字に残る形でもらっておいてください。

3. DIY型賃貸借という選択肢を知っておく

国土交通省は、借主の意向を反映して住宅を改修できるDIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブックを公表しています。契約の内容によっては、退去時に原則として原状回復をしなくてよい形にすることもできます。これから部屋を探す方なら、「DIY可」「カスタマイズ可」といった条件で探してみる価値があります。

壁に塗らずに塗り壁を取り入れる

許可が取れない、あるいは確認が面倒という場合でも、あきらめる必要はありません。壁そのものに手を加えずに質感を持ち込む方法があります。

  • 板に塗って立てかける:ベニヤ板やMDF板に塗り、壁に立てかけます。ベッドヘッドの背面やテレビの背面に置くだけで、部屋の印象がはっきり変わります。
  • 小さな面から試す:板を額縁に見立てて数枚つくり、並べて掛ける方法もあります。
  • 持ち家になってから本番:板で色と質感を試しておくと、いざ壁を塗るときの判断が早くなります。

板に塗る場合も、必要な量の考え方は壁と同じです。面積から袋数を出す方法は塗り壁の必要量と費用の早見表にまとめています。

はじめての方に 道具一式がそろったスターターキット 塗り壁材2袋(約3㎡分)とバケツ・ゴム手袋・コテ・計量カップ・養生テープのセット。届いたら水を用意するだけで始められます。

持ち家・DIY可の物件なら

戸建てや分譲マンションの専有部分であれば、基本的にご自身の判断で塗れます。分譲マンションの場合だけ、管理規約で内装工事の届出が必要なことがあるので、念のため規約を確認しておくと安心です。

ビニールクロスの上からそのまま塗れるタイプなら、壁紙をはがす工程が要りません。手順は壁紙の上から塗れる塗り壁DIYの手順、材料の選び方は漆喰・珪藻土・シラス壁の違いで解説しています。

よくある質問

賃貸の壁に塗り壁を塗ってもいいですか?

契約内容によります。多くの賃貸借契約では退去時に元の状態へ戻す義務があり、塗り壁は通常の使用による損耗にはあたりません。塗る前に必ず管理会社やオーナーに確認してください。

勝手に塗ったらどうなりますか?

退去時に、壁を元に戻すための費用を請求される可能性があります。金額は面積や仕上げによって変わるため、事前の確認が結果的にいちばん安く済みます。

DIY型賃貸借とは何ですか?

借主の意向を反映して住宅を改修できる賃貸借の形です。国土交通省が契約書式例とガイドブックを公表しており、契約の内容しだいで退去時の原状回復を不要にすることもできます。

壁に塗らずに塗り壁を楽しむ方法はありますか?

ベニヤ板や有孔ボードなどに塗って、壁に立てかけたり吊ったりする方法があります。壁そのものには手を加えないため、退去時はそのまま持ち出せます。

持ち家なら自由に塗れますか?

分譲マンションの専有部分の内壁や戸建てであれば、基本的にご自身の判断で塗れます。マンションは管理規約で内装工事の届出が必要な場合があるので、規約を確認しておくと安心です。

まとめ

賃貸で壁を塗るかどうかは、材料の問題ではなく契約の問題です。契約書を読み、管理会社に具体的に相談し、許可は文字で残す。この3つを踏めば、あとは安心して手を動かせます。許可が取れないときは、板に塗って立てかける方法で十分に楽しめます。

← コラムの一覧へ